炭水化物などの糖質に注意しないといけない
日本人はお米、うどん、そばなどの炭水化物が好き。
日本人に糖尿病が急増した大きな原因には、一般に、食生活の欧米化があると考えられてきました。
戦後、日本では高カロリー・高脂肪の欧米食が急速に普及し、その影響で肥満や糖尿病が増加したと考えられているのです。
そのため、現在の糖尿病の食事指導では、低カロリー・低脂肪の糖尿病食が主に推奨されています。
ところが、糖尿病の方の中には、毎日、低カロリー・低脂肪の食事を辛抱強く続けても、高い血糖値やヘモグロビンA1Cの血糖値の値 がなかなか下がらずに悩む人がたくさんいます。また、糖尿病が悪化して合併症に苦しめられる人もあとを絶ちません。
これは、以前から推奨されてきた低カロリー・低脂肪の食事療法に問題があると考えざるをえません。つまり、日本人に糖尿病が増えたのは、高カロリーの欧米食が原因ではないのです。
では、糖尿病の真の原因となる犯人は、いったい何なのでしょうか。それは、日本人が知らぬまに陥る糖質のとりすぎ」なのです。
栄養素の中で、血糖値を上げるのは、ご飯やパン、メン類、菓子類などに多く含まれ、炭水化物やデンプン、糖類などと呼ばれる「糖質」しかありません。つまり、摂取カロリーや脂肪をいくら減らしても、糖質を摂っているかぎり血糖値の上昇は防げないのです。
昔から米や雑穀を常食してきた日本人は、1日3食、糖質の主食を欠かさない民族です。
日本人の多くが主食では、ご飯、パン、うどん、そば、ラーメン、パスタ、寿司、丼ものなどを毎食のように食べる人が多いと思います。また、副食でも、糖質が多い小麦をルーや衣に使用した料理を食べる機会が多いことでしょう。具体的には、カレー、シチュー、天ぶら、コロッケなどです。
ほかにも、ケーキ、クッキー、10スナック菓子、まんじゅう、大福といった間食、ジュース、ビール、日本酒などの飲み物にも糖質が多く含まれています。
糖質を1グラムとると、健康な人では食後血糖値が1ミリ上昇するのに対し、糖尿病の患者さんではその3倍の3ミリも上がることがわかっています。
例えば、おにぎり1個( 120グラム) には糖質が46.9グラム含まれているので、糖尿病の人は、1つ食べるだけでも食後血糖値は約150ミリも上昇することになるのです。
こうした食後高血糖が続くと、やがて、本格的な糖尿病や合併症を発症することにつながるのです。
ところで、日本人は、欧米人に比べて肥満率が低いのに、糖尿病の発症率が高い人種です。みなさんの中にも、やせ型だったり少食だつたりするのに、糖尿病にかかったという人がいるのではないでしょうか。
この理由について、
しかし、この考えは間違いであることがわかりました。そもそも、このように考えられたきつかけは、1989年に発表したある糖尿病の論文に掲載されていた、米国白人と日本人のインスリンの分泌量を比較したグラフがきっかけです。このグラフは、あたかも日本人に比べて米国白人のほうがインスリンの分泌量が多いことを示すものに見えます。
ところが、実は、このグラフの根拠となった研究を調べると、米国白人と日本人で、ブドウ糖の摂取量がそれぞれ違い、米国白人はブドウ糖を100グラム、日本人は75グラムを摂取した場合のインスリンの分泌量を示したものでした。つまり、このグラフが示すインスリンの分泌量の違いは、人種の違いではなく、ブドウ糖の摂取量の違いにすぎなかったのです。
このグラフが長年にわたって多くの医師の目にとまった結果、「日本人は遺伝的にインスリンの分泌量が少なく、糖尿病を招きやすい」という考え方が1人歩きしてしまい、専門医さえもそれを信じるようになってしまったのです。
なお、欧米人と日本人で、インスリンの分泌能力に違いを生じさせる遺伝子も、実は見つかっていません。こうしたことから、日本人に糖尿病が多発する原因はただ1つ、糖質の多い主食を欠かさず食べる「糖質のとりすぎ」にあるのです。
おかずは1つもなくていいけれど、ご飯と味噌汁だけは食べたいという人もいるかと思います。
その場合は糖質をカットする健康食品を取り入れるようにします。