怒りはエスカレートしやすい感情
人間の心は本質的につねに刺激を欲しがり、よい刺激であれ悪い刺激であれ、おかまいなしに求めては、それをより大きくしようとします。
怒りは脳内で神経伝達物質ノルアドレナリンなどの不快物質を分泌させて、心身に大きなダメージを及ぼすもの。
しかし怒っているあいだはそのダメージを認識できず、強い感情である怒りによって与えられる強い刺激を「気持ちがいい」と勘違いしてしまいます。 そのせいで、いったん怒りを発散させると止められなくなり、さらに「もっと、もっと」と怒りをエスカレートさせてしまうことに。
また自分の怒りは表情や口調などを通して、瞬時に相手に伝染し、相手の心をも「怒りの世界」に引きずり込みます。すると相手からイライラした反応が返ってくるので、自分もより怒りを募らせることになり、どんどん険悪なムードになるというスパイラルをまねくのです。
怒ることによって得られる刺激は心をまひさせて、怒りの原因となったストレスを一時的に感じなくさせるため、ストレスが解消されたかのような錯覚をもたらします。そのため心は「怒ったはうが楽と、事あるごとにあおるように。
けれどもじつはストレス解消どころか、怒りによるダメージがさらなるストレスとなって蓄積し、それを解消しようとまた怒り、いっそうストレスをためるという悪循環に陥ってしまいます。